- HOME
- スペシャルコンテンツ
- 疾走する哲学 響き合う美意識と革新の鼓動 Vol.2 Audi×戸恒浩人
2026年1月掲載
疾走する哲学
響き合う美意識と革新の鼓動
Vol.2 Audi×戸恒浩人
「技術による先進」をモットーに、常に未来を見据えて挑戦し続けてきたAudi。
その革新性は、車輌のインテリア、エクステリアにおける光のデザインにも及びます。
今回は、東京スカイツリー®の照明デザインで、世界の照明デザイン業界に衝撃を与えた戸恒浩人さんに、お話をうかがいました。
戸恒浩人
Hirohito Totsune
1975年、東京都出身。東京大学工学部建築学科を卒業後、建築照明デザイン事務所勤務を経て、2005年、有限会社「シリウスライティングオフィス」を設立。2007年に東京スカイツリー®のライティングデザイナーに選出され、国内外から大きな注目を集める。
主な作品は、AZABUDAI HILLS_Landscape , Garden Plaza Facade、JPタワー大阪、慶應義塾大学病院1号館など。
国際照明デザイナーズ協会賞(IALD)、北米照明学会賞(IES)、照明学会照明デザイン賞ほか受賞多数。

使用モデル
Audi A6 e-tron
Audiの電気自動車コンセプトを新たなステージへ推し進めアッパーミッドクラスを革新する存在、Audi A6 e-tron。エレガントでダイナミックなフォルムは、外観の美しさだけでなく先進のエアロダイナミクスで優れた空力性能を実現。静かで力強いパフォーマンスと圧倒的な一充電走行距離を備えます。ボディタイプには流麗な4ドアクーペのSportbackと、優れた実用性を備えるAvantをラインアップ。イノベーティブに、そしてサステイナブルに磨かれたAudi A6 e-tronが新たな時代を切り拓きます。
戸恒浩人、東京スカイツリー®前史
「僕が照明デザインに興味を持ったのは大学で建築を学んでいた時。ビルをつくるというよりも身の回りの空間について考えてみたいな、と思って東大の建築科に進んだのですが、次第に、空間を照らす光とか照明のほうに興味があることを自覚しました。
実は小学校5年生から中学2年生まで、僕は父の仕事の関係でベルギーのブリュッセルに3年間住んでいたんです。ヨーロッパの街並みっていろんな建築がライトアップされて、都市計画とライティングがマッチしているんですよね。そうした環境から帰国した当時、日本は白くて眩しい蛍光灯やネオンの光に溢れていて、子供ながらに、ひどいなって思ったことがありました。そんな経験もあり、日本の光を変えるような仕事はないかなと思って、学生時代に建築の照明デザインを専門とされている事務所にアルバイトとして入り、そのまま就職しました」
東京スカイツリー®に込めた「和」への想い
それから8年間、戸恒さんは会社員として働き、29歳の時に独立します。人生のターニングポイントとなった東京スカイツリーとの出会いは、さらに2年後のことでした。若手のアイディアも見たい、という事業者の考えもあって、声をかけられ、東京スカイツリーのコンペティションに急遽参加することになったのです。
「とにかく与えられた少ない時間でコンペの課題に全力投球したのですが、本音はやはり実績のある人が勝つと思っていたので、自分はやってみたいことを表明することを優先して、当時光で表現するのは難しかった紫色などの日本らしい色合いを使ったデザインを提案したのです」
それが現在も東京スカイツリーのシンボルカラーとなっている、淡い青がきらめく「粋」と、紫色が輝く「雅」という日本の伝統文化を意識させる名前のついた2色でした。(後に元気なオレンジ色の「幟」が加わる)
※当時のコンペ資料
※左から「粋」「雅」「幟」©TOKYO-SKYTREE
「やはり江戸の下町文化を残す墨田区に立つタワーですし、“和”とか“江戸文化”を強く意識しましたね。父親の影響でよく昔の国技館に相撲を見に行っていたこともあり、あの色は力士の化粧廻しを参考にしているんです。また“粋”とか“雅”といった和名も、相撲番付の文字とか、お相撲さんの四股名をイメージしてつけました」
帰国子女であることから、ヨーロッパのライティングデザインは参考にしなかったのかと聞くと、「それはないですね」ときっぱり。
「確かにライティングデザインの歴史は西洋発祥ですが、僕らの世代では、それを単にコピーする時代は終わっていて、ほとんどのデザイナーが、いかに日本から新しいライティングを発信するかということを考えていると思います」
世界の時計の針を2年進めた、LEDの衝撃
そうした和のコンセプトの新鮮さもあいまって、戸恒さんは見事コンペで東京スカイツリーの照明デザインのプロジェクトを獲得します。しかし、提案した色を理想的な美しさで投影するのは、至難の技でした。
「当時はLED電球が出たてでパワーもなく、ましてや634mもあるタワーをLEDで照らすなんて考える人、誰もいなかったと思います。僕も当然、従来の大きな放電灯を使ってライトアップすることを考えていたのですが、電気代はかかるわ、ランプはすぐ切れるわ、なおかつ紫色が全然きれいに出ないわで、かなり“まずいな”という状態に陥っていました。そんな時に、あるメーカーさんが、いろんな色を出せる親指ほどの小さなLEDを持ってきてくれて、試しにそれを使ったら、たった4ワットでその場の空間がとても明るい紫色に染まったんです。電力は従来の放電灯の1/10、しかも寿命はとても長くて、グラデーションもつけられる。それで、僕、“これスカイツリーが完成する時にはもっと明るくなっていますよね?”とロードマップを確認して、その場で“スカイツリーをオールLEDでやりましょう。そうしないと、スカイツリーができた時には古くなっちゃいますよ”と提案させていただきました」
「それから2年間、メーカーを巻き込んで、プロジェクトは、スカイツリーを照らす大光量LED投光器を作る事業計画になっていったんです」
一般的には、LEDの投光器は5m先を照らすぐらいのものしかなかった2012年の施設オープン当時、オールLEDの光に照らし出された「(当時)世界一高い」電波塔の威容は、世界中の照明関係者を震撼させたといいます。
「東京スカイツリーのオールLED化は、時計の針を少なくとも2年は進めたと言われています。東京スカイツリーが出来たことにより、日本では建築中の多くのプロジェクトに見直しがかかり、LEDでやるという計画変更がされたらしいです。東京スカイツリー®のプロジェクトは最終的にパナソニックさんが担当されたのですが、ライバルで競っていただいたメーカーさんもその時に開発したLED投光器をすぐに既製品にしたので、以降、たくさんのLED投光器がパッとでてきたんですよ」
まさに東京スカイツリーが起こした「技術による先進」でした。
同時期に起こっていた、AudiのLED革命
実は、東京スカイツリーオープン前後、AudiでもLED革命が進行していました。まず2008年、Audi車のヘッドライトがフルLED化して光のセグメント化が可能になり、従来のヘッドライトに比べて、照明範囲や性能が大幅に改善します。2011年にはリヤライトにもLEDが搭載され、2013年には対向車や先行車を検知し、周囲に迷惑をかけることなく自動でハイビーム照射をすることができるマトリクスLEDヘッドライトが誕生。現在は、100万個以上のマイクロミラーで光を調整するデジタルマトリクスLEDヘッドライトが、実装されています。
今回、戸恒さんに、Audiのフル電動モデル「Audi A6 e-tron」に試乗し、そのライティングについて感想をうかがったところ、「やはりデジタルマトリクスLEDヘッドライトには興味を惹かれますね」とのことでした。
「昔の車のヘッドライトはもっとアバウトに光を飛ばしていたのですが、今は照らしたい部分とそうでない部分を完璧に分けて、必要なところだけくっきりと照らすことができる。僕が車は羨ましいなと思うのは、これだけのライトを、ひとつの建築のために特注で作ろうと思ったら、コストはたぶん1千万円超えてしまうんです。でもAudiではこのライトを搭載した車輌自体の価格が1千万円。僕からしたら、車って照明だけでもお釣りがくる。そういう意味でもAudiの技術とコストパフォーマンスは勉強になりますよね」
「夜のドライブでは、アンビエントライトを“雅”をイメージした色で運転させていただきましたが、やはり高揚しましたね。バーにいるような心地よさもあって、自分の好みに色を設定できるのは、改めて大切だと思いました。今後は車内の照明もAIと連動して、搭乗者の目線や表情、場合によっては血圧とか体温とか心拍数とか、そういったものを解析しながら、状況にあわせて照明がついたり消えたりするようになるかもしれません」
復興のシンボルとなった、東京スカイツリー®
世界一の高さを誇る電波塔、世界をリードするオールLED化、そして「粋」や「雅」の伝統色、とユニークな要素を持っていた東京スカイツリー。この塔がさらに唯一無二の存在として輝きを放つのは東日本大震災後、復興の象徴となったことでした。
「東京スカイツリーは、試験点灯をするのですが、その後に被災し、翌年オープンしました。東京スカイツリーはオールLEDで、新時代の省エネライティングであるということは事前に発表されてはいたのですが、とても悲しいことが起こった後で、その後も節電ムードはずっと続いていましたから、関係者一同、もうライトアップどころの話ではないだろう、と思っていたんです。ところが僕の会社の小さなホームページへ、東京スカイツリーはぜひ点灯してほしい、というメッセージがたくさん届きまして、最終的に予定通り点灯することになったのです。
© FUMITO SUZUKI
僕は、良い照明デザインとは、デザイナーの自己表現のツールではなく、やはりその場にいる人の気持ちを盛り上げたり、ハッピーにしたり、基本的にプラスの作用をそれとなく引き出してあげられることだと思っています。
東京スカイツリーは日没に合わせて点灯し、24時に消灯するのですが、2つの展望台の時計光は24時間回り続けているんです。これは一定の周期で回ることによって、過去と現在と未来が循環する永遠性を見る人に感じて欲しかったということに加えて、深夜残業して帰って行く人がふと夜空を見上げた時、“俺1人じゃねえや”って元気になってもらえるよう、最後まで見守ってますよ、という思いを込めています。今度東京スカイツリー周辺に行く機会があれば、ぜひツリーを見上げてご覧ください」
Audiの走りについて
「電気自動車をこれだけ長く運転したのは今回が初めて。緊張しましたけど、とても楽しかったです。やはり想像以上に静かで走行が滑らかでした。それからアクセルを踏んで加速する時、今までのギアを切り替える時のワンクッションがなく、ずっと重力がかかってくるので、最初は”うぉー、どこまで行くんだ?”と焦りました。これは慣れが必要でしょうね」
構成・文/木谷節子
アートライター 1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業後、編集プロダクション勤務を経て、再度、東京藝術大学芸術学科に入学。
その頃より現在にいたるまで、雑誌やムック、各種インターネットサイトなどでアート情報を多数発信。
現在は、「ぴあアプリ」や、企業、美術館のアートコンテンツで執筆するほか、絵画講座の講師としても活動中。
オリジナルコンテンツをご用意
Audi Online Concierge
ビデオ通話サービスのご案内
お手持ちのスマートフォンやPC、タブレットから、まるでショールームへ足を運んだかのようなサービスが受けられる弊社独自のビデオ通話サービス。資料の共有も手軽にできるので、お手軽にお見積り等のご確認もいただけます。
ぜひご利用ください。
YouTubeチャンネル
弊社オリジナルのYouTubeチャンネル。Audi A1/Audi A3/Audi A4/Audi A5/Audi A6/Audi A7/Audi A8/Audi Q2/Audi Q3/Audi Q5/Audi Q7/Audi Q8など、人気モデルのオリジナル動画をご覧いただけます。
メールマガジンの登録
メールマガジンにご登録いただくと、本記事のようなオリジナルコンテンツはもちろん、弊社独自イベント・キャンペーン情報など最新の情報を無料でお届けします。