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2025年9月掲載
疾走する哲学
Audi×Japan 響き合う美意識と革新の鼓動
1909年の創業以来、116年の歴史を持つAudi。
「技術による先進」を掲げ、常に未来を見据えて挑戦を続けてきたその精神は、様々な点で日本の伝統文化のあり方と似ているところがあるのではないでしょうか?
そんな仮説のもと、Audiと日本の文化芸術との共通点を見出し、未来へとつながる温故知新の精神を探ります。
Vol.1 Audi×茶の湯
「華美ではないが上質」「派手ではないが洗練されている」そんなAudiのアンダーステートメントな美学に魅力を感じている人は多いでしょう。
本質的な機能と美しさを追求するミニマリズム。それは安土桃山時代、千利休が大成した茶の湯の文化に通底する美意識といえるのかもしれません。
Audiと利休:美の革命

千利休が豊臣秀吉に茶を献じたと伝わる、大徳寺大仙院 書院の間(すいしょう室)
京都、紫野。広大な敷地を構える古刹・大徳寺の塔頭寺院・大仙院には、千利休が豊臣秀吉に茶を献じたという「書院の間(すいしょう室)」が、今も当時と変わらぬ姿で残されています。約450年前の夏の日、秀吉はこの部屋で、利休の茶と緑したたる庭の眺めを楽しみました。しかし、そのわずか数年後、秀吉は69歳の利休に切腹を命じます。なぜ利休は、切腹しなければならなかったのか? 確かな理由はわかっていません。
簡素さの中に美を見出し、究極の洗練と精神性を追求した「侘び茶」の大成者・千利休と、富と権力の象徴として大坂城内に絢爛豪華な「黄金の茶室」をつくった豊臣秀吉。2人の相容れない美意識が、その主従関係に亀裂をもたらしていたのかもしれません。

室町時代につくられた大仙院の枯山水の庭。禅式枯山水庭園の最高傑作として名高い

大仙院へのアプローチ、一の門

国宝本堂 ©水野克比古
大徳寺大仙院
臨済宗の大徳寺内にある塔頭寺院。この寺が有する庭園、方丈建築、襖絵は全て、室町時代を代表する芸術史上の傑作。安土桃山時代には、当院の住職・古溪宗陳と千利休が大変親しく交流した。この古溪宗陳は、切腹後にさらされた利休の首を取り戻したという逸話が残る。
詳しくはこちら >「侘び茶」のふるさと堺と「市中の山居」

若き千利休が参禅した南宗寺
千利休が生まれ育った大阪・堺には、彼が若い頃に参禅した古刹、南宗寺が佇み、その境内には千家の供養塔などを見ることができます。当時、堺は中国や南蛮との交易で莫大な富を蓄えた商人たちが町を自治し、自由な経済活動を営んでいました。そんな豪商たちの間で盛んに行われていたのが、小路の奥に草庵風の庵を結び、外界の喧騒から隔絶された空間で茶をたしなむことでした。当時、堺を訪れたイエズス会士が「市中の山居」と呼んだそれは、物質的な満足を極めた裕福な商人たちが、心の充足感を求めてつくりあげた、精神的な異世界だったのです。

千利休と一門の供養塔

利休愛用の立ちつくばい
420kW(571ps)を発揮する4リッターV8ツインターボエンジンや、レーダーとカメラで路面状況を先読みしてそれぞれのサスペンションを瞬時に制御するプレディクティブアクティブサスペンションなど、Audiの最先端技術が集約されたフラッグシップサルーン「Audi S8」は、その静粛性もまた印象的です。ドアを閉め、走り出したとたんにそこに立ち現れる静かなる異空間。それは500年近くも昔、堺の富裕層が渇望した「市中の山居」の静寂と重なるものがあるかもしれません。

「市中の山居」を彷彿とさせるAudi S8のインテリア。フラッグシップサルーンでありながらもドライバーズカーとしての佇まいが、一層の異世界感を感じさせる

利休の弟子・古田織部好みの枯山水の庭園
南宗寺
若き千利休が禅の修行をした堺の古刹で、大坂夏の陣以降、現在の地に移った。南宗寺には、国の名勝・枯山水の庭園、重要文化財の仏殿、山門、唐門、また千家一門の供養塔や利休好みの茶室「実相庵」などがある。
堺市堺区南旅篭町東3丁-1-2
072-232-1654
本質的な美と精神的な豊かさを求めて

外界とは全く違った空気と時間が流れる「さかい待庵」内部
南宗寺から程近くのところにある「さかい利晶の杜」。この施設には、利休が手がけた現存する唯一の茶室「国宝 待庵」の創建当初の姿を想定復元した「さかい待庵」が存在します。
わずか二畳の空間には、下地窓や連子窓が絶妙なバランスで配置され、厳選された素材でつくられた薄暗い内部に適度な外光を供給します。実は千利休は180㎝近くもある大男でした。そんな大柄な利休とこの部屋で対峙するのは、さぞ圧迫感があったのでは? と想像されます。しかし意外にも閉塞感が感じられないのは、壁や天井の継ぎ目にほどこされたアールや、自然光がつくり出す陰影が、空間に奥行きを与えているからなのでしょう。

洗練された流線型のデザインが美しい、Audi S8のドアトリムパネル

オペレーションパネルと一体となったリアのアームレスト
対するAudi S8は、最上級サルーンならではの広さに加えて、過度な装飾を排した水平基調のクリーンなインテリアデザインで、視覚的な広がりを演出。厳選されたレザー、ウッド、カーボンなど、触れるもの全てに漂う上質感もまた、「贅沢な空間」という心理的なゆとりを感じさせます。

利休好みの道具のしつらえ
また利休に限らず、「侘び茶」の茶人たちは、茶杓を自作し、茶碗や茶筅など自分好みの道具をしつらえました。それは最も効率よく美味しいお茶を点てるための機能美の追求に他なりません。畳の目いくつ分、指何本分という緻密な道具の配置もまた、無駄なく美しい茶の湯の所作につながっています。
21世紀を走るAudiも、人間工学という最先端の科学に基づいて、機能を追求しています。たとえばコックピット。エアコンやオーディオなどの物理ボタンを削減し、あらゆる機能を大型のタッチディスプレイに集約したことで、操作はシンプルかつ直感的となり、ドライバーがより運転に集中できるようになりました。すっきりと洗練されたダッシュボードまわりのデザインは、機能と合理性を極限まで追求し、無駄を排したからこそ生まれた美しさなのです。

ドライバーの操作性・視認性・快適性を最大限に追求したAudi S8のコックピット

「千利休茶の湯館」展示風景
時を超えて受け継がれる、究極のホスピタリティ

比叡山の麓に立つ日吉大社の赤鳥居。その先には、2000年以上の歴史ある広大な神域が広がる

日本最古と伝わる日吉茶園
琵琶湖の西、比叡山の麓にあって、平安時代より京の都の表鬼門(北東)を守ってきた日吉大社。2025年7月、その参道沿いに、「日吉茶園」が新たに整備されました。この茶園は、平安時代、遣唐使として大陸に渡った天台宗の開祖・伝教大師最澄が、中国の天台山から茶の種を持ち帰り、この地に蒔いたと伝わる日本最古の茶園です。
千利休は、この1200年以上に及ぶお茶の歴史に、「侘び茶」という大きな変革をもたらしました。 Audiもまた、フルタイムの4WDシステム「quattro」や高いボディ剛性と軽量化を両立する「Audiスペースフレーム」などの革新的な技術で、自動車史に記念すべき1ページを刻んでおり、その思想は電気自動車をはじめとする新しいモビリティにも受け継がれています。どちらも各界の改革者でありながら、前者は「一期一会」というかけがえのない瞬間のために、後者は「技術による先進」というブランド哲学の体現者として、本物だけが知る価値と機能美を追求し続けています。その目的とするところは、同席者やドライバーとパッセンジャー、すべての心を豊かにする究極のホスピタリティ。それは過去から未来へと時を超えて受け継がれる、永遠のテーマということができるでしょう。

京都府相楽郡和束町に広がる、石寺の茶畑にて ※特別な許可を得て撮影しています。茶畑は私有地のため、無断で入らないでください

日吉大社西本宮の佇まい
日吉大社
滋賀県大津市坂本の比叡山の麓、琵琶湖のほとりに位置する神社で、全国の日吉、日枝、山王神社の総本宮。およそ2100年前、崇神天皇7年に創祀され、平安時代以降、京の都の守護を担い、天台宗の護法神としても崇敬を集めてきた。
詳しくはこちら >
構成・文/木谷節子
アートライター 1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部国語国文学科を卒業後、編集プロダクション勤務を経て、再度、東京藝術大学芸術学科に入学。
その頃より現在にいたるまで、雑誌やムック、各種インターネットサイトなどでアート情報を多数発信。
現在は、「ぴあアプリ」や、企業、美術館のアートコンテンツで執筆するほか、絵画講座の講師としても活動中。


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